10MHz2W CWトランシーバー

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“Small Wonder labs”の「SW-30」のキット

1.構想

 http://smallwonderlabs.comのページで安価(60ドル)なCWトランシーバーを見つけました。どのような回路で仕組まれているか興味を持ち,購入してみました。20ページにわたる詳しい説明書がついていました。英文ですが。ケース付きのキットもあるのですが,とりあえず基板と基板上の部品のキットを購入しました。SA612(NE612)はサトー電気で1300円です。それが3個入っていますので,かなり安価なキットだと思います。注文の書式が英語なので厄介ですが,きちんと注文書が書けていれば,すぐに返信メールが帰ってきますので安心です。PayPalの手続きも必要でした。
 回路を簡単に説明します。
 受信部: 7.68MHzの水晶発振子3個によるクリスタルフィルターを利用した,シングルスーパーです。IFアンプは省略されています。RFアンプもありません。NE612による変換利得とAFアンプの利得で十分なようです。音量はアンテナ入力にVRを入れて調節するようになっています。VFOはトロイダルコイルに自分でコイルを巻いて作るタイプで,バリキャップを使用しています。RIT回路はありません。送信時も受信部が動作させておいて,自分の電波を自分自身で聞くようにしてあります。受信時にシフトしている分の周波数のトーンが聞こえますので,これは実に便利です。FET(2N5485)1石によるミュート回路は実に良くできています。また,RFC1+コンデンサー1個+ダイオード4本によるアンテナスイッチも実に良くできています。
 送信部: 1個目の2N4401の出力を半固定VRで調節するようになっていて,出力を加減することができるようになっていること以外,特に変わったところはありません。 最大で3Wほどの出力があります。
 フルブレークイン: キーダウン時に,2N39061石でNE612+2N4401+2N4401の電源をオンオフしています。

ブロック図
  *→NE612→XtalFilter→NE612→NE5532(1/2)→2N5485→NE5532(1/2)→Phone
     ↑

   2N4401[VFO]

     ↓

       NE612→BPF→2N4401→2N4401→2SC2078→LPF→ANT
                                  ↓                           
                                                       *←ANTSW

 回路がわかったところで,製作の計画を以下のようにしました。

1. スピーカーが鳴らないので386のアンプを入れる。
2. パワーメーターを付ける。 本当に電波が出ているか心配なことがあります。ANTコネクターから1PFのコンデンサーで電波をひき出し,検波してメーターを振らせる簡単な物です。アンテナの不具合やRIGの異常発振なども確認できるので,私は必ず付けるようにしています。
3. メモリーキーヤー「PK−3」を内蔵させる。「PK−3」のサイドトーンが出ないとメモリーするときに無音になってしまうので,ON・OFFのSWを入れる。スピードコントロールのVRを付ける。
4. 電池を内蔵させないで,小型の12Vの電源パックを製作する。
5. 10.108MHz〜10.142MHzと可変範囲が広いので,ポールドライブを付ける。
製作

1. 基板を完成させました。(実をいうと部品が5個不足していました。メールで知らせたら5日後に部品が届きました。速いですね。) 一発で動作しました。VFOの発信周波数を調整して次に進みました。

2. 「PK−3」と「386」の回路を蛇の目基板で作成。部品面が前面シールドの高周波用基板を始めて使ってみることにしました。

回路図

配線図

上から見た写真

下から見た写真

アースはすべて部品面に行くので,配線面がすっきりしています。

3. いつもは配線用のコネクターを使わないのですが,今回は使ってみました。すべて千石電商で購入しました。

工具とコネクター

コネクターの拡大写真

4. ケースの穴あけとインスタントレタリング。塗装は透明のクリアラッカーです。

5. ポールドライブの金具の製作。これにはいつも苦労させられています。

6. 配線して完成です。

7. 電源パックを作りました。こちらをご覧ください。

8. 調整
 受信は入力のT1(10MHzのIFコイル)のみの調整です。山がわかりやすいので簡単です。
 送信はバンドパスフィルター(2個の10MHzのIFコイル)を調節します。出力調整用の半固定VRを少し絞っておいてからのほうが,山がわかりやすいようです。その後,出力を調整しますが,ある程度上げると飽和し,不安定になります。2Wも3Wも変わりありませんので,モニターをしながら,安定な電波が出ていることと,サイドトーンが自然な音になることに重点を置くべきです。

9. その他

 *2N4401,2N3906,2N5485のデータ-シートはこちらへ。右上のSEARCHの欄に型番を入れると検索できます。
 *2SC2078を2SC1971に交換してみました。うまく作動しません。信号をモニターしてみたら,不安定でした。サイドトーンの音量も大きすぎ,出力の増加もほとんどありませんでした。
 *半田付けの際は十分注意が必要です。両面スルーホール基板のため,しっかり半田付けされてしまい,一般の基板のように部品の交換ができません。特にトランジスターのように3本足のものは苦労します。もたもたしていると銅箔を壊してしまいそうです。

10. 2003/2/2移動運用報告

 2月1日(土曜日)に,千葉県安房郡丸山町御殿山(360m)の山頂で運用してみました。気温は4℃と低く,寒さは覚悟していましが,風が強くあまりにも寒く,ツェルトを張って運用しました。
 まず,ワッチしてみました。土曜日の朝の10時にもかかわらず,たくさんの局が聞こえました。感度十分です。7エリヤの局をを呼んでみました。my559his599で更新成立です。コーヒーを入れながら,CQを出すためにバンドの端(10.136MHz付近)をワッチ。空いているようなので,早速メモリーします。「CQ CQ DE JH1USG/1 JCG12001/MARUYAMA TOWN K」 続いてCQを出しました。1時間ほどで北は北海道苫小牧市,南は広島県神石郡までの21局と交信できました。
 スピーカーが鳴るようにすることと,メモリーキーヤーは是非必要です。移動運用では交信に集中できません。受信中やCQ送信中に他のことができることが大切です。特に不満のない良いRIGが完成し たことを確認できました。以下にアンテナ等の設備を紹介します。
 チューニングダイヤルのツマミに手持ちの中に適当な物がなかったので,小さい物を使用していますが,35mm直系のダイヤルに交換をする必要を感じました。

 *アンテナ:全長10mのL字型のロングワイヤー。5.5mの玉網であげて水平に4.5m伸ばしました。アンテナの端には「みず糸」をつなぎ,みず糸をしばりつけた石を木立に向かって,「えいっ」と投げて設置しました。GNDには10mのワイヤーを地面にはわせました。チューニングは移動用オールバンドQRPアンテナチューナー (SWR計付き)を利用しました。

 *バッテリーは12V2A小型軽量バッテリーパックを使用しました。

 *パドルは,自作のミニパドルを使用しました。

 *この日の交信実績を以下に紹介します。コールサインの次の番号はJCCまたはJCGナンバーです。各局には下手なCWに応答いただきまして感謝致します。TNX ALL FER UR CALL
JA7GBS    0603
JH1QCA
/2
JR8CIX    0113
JR7JRJ
/QRP 07015A
JN2UIY    2020
JA5NSN
/3  2601
JR1VLU
JJ1NNH
JH4QJN    35007D
JA3ART
JA2GQO
7K2XEA
JA9IFF
/
1
JK1DKU
7M2VPR    1102
JJ7XHM    03009B
JJ1LID
JA4QQW/1  1229

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